2023年3月14日、文部科学省との懇談を行いました。
医学連では毎年、全国の医学生から集めた意見をもとに厚労省・文科省との懇談を行い、意見交換を行っています。
詳しい要請内容や回答を知りたい方は、こちらの文科省交渉報告もぜひご覧ください。
https://drive.google.com/file/d/1jVjMECUWfIvH_YSUHqWybinIiMuJMVpW/view?usp=sharing
概要は以下の通りです。(2023年3月14日時点での回答になります。)
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本年度の懇談では、「医学教育」「基礎研究の推進」「医学生の精神的サポート」「予算」「高等教育の無償化」の5項目について要請し、意見交換を行いました
【医学教育】
医学生が主体的に医学教育改革に関われる仕組み作りや、カリキュラム委員会に関して運営を改善し、積極的な学生参加を促すことについては、カリキュラム委員会に学生も参加することで可能になっており、詳細については各大学で対応してもらっているとの回答がありました。
カリキュラムの過密化に対する教員と学生双方の負担の把握や、より良いカリキュラムを全医学部に提示し、カリキュラムの大学間格差をなくすことについては、文科省の設置基準では 180 単位/6 年間以上としか定められておらず、そのうち2/3 はコアカリキュラムに準拠、残りの 1/3 は各大学で定めることになっており、そもそも大学間のカリキュラムの差はあってしかるべきではないかとの回答がありました。大幅なカリキュラムの前倒しによる学生への負担については、モデルコアカリキュラムの変更の際には在学生、卒業生の意見も踏まえており、新カリキュラムは旧版よりもスリム化しているとのことです。
医学生の留学に対する支援を充実については、海外留学支援制度を設けており、来年度は受け入れ人数を増やしていく予定であるとの回答がありました。また、現在の円安の対策としても、六か月以上の滞在者に対しても支援を行っていく予定であり、国としても留学を推進すべく支援を充実させていきたいとのことです。
各大学の留年者数の調査や、適正な進級判定が行われているかの精査については、文科省で既に行っており、進級卒業基準については法令的に問題があれば別だが、基本的には大学の判断に任せているとの回答がありました。報道にもあった群馬大学の留年問題についても、基本的な対応は大学の方で決めてもっているが、学生や保護者が納得されるかどうかに関しての情報共有は行っており、大学の方からも引き続き現状を報告してもらう予定であるとのことです。
拡大しつつある医学生の医行為の指導医体制を整備することについては、大学病院は極めて高度な医療であり、学生がそこで学ぶのは難しい面もあるため、地域の診療所などを巻き込んで学生を育成していくような取り組みを考えているとの回答がありました。
【基礎研究の推進】
科学研究費助成事業を継続的に増額させていくことについては、次年度でも前年度増で計上しており、若手のポスドクなどの要請、海外派遣や自立支援、若手の養成を目指し、引き続き支援していくつもりであると回答がありました
基礎研究医の養成プログラムの推進や、留学や大学院進学などの費用への支援を充実させることについては、入学定員増を認めており、常勤ポストの確保や、臨床研修などで研究が滞らないように努めていると回答がありました。また、研究とライフイベントとの両立など、大学等に所属する若手研究者の待遇を改善していきたいとのことです。
【医学生の精神的サポート】
医学生のカウンセリングや学習のサポート体制について、心身に負担を感じている学生には対応する必要があり、より学生側から相談しやすいように、専門家と連携したきめ細やかな対応を大学に求めているとの回答がありました。また、各大学の好事例の収集や学生支援を担当する教員へのセミナーなど、充実を促していくとのことです。
これらの支援を学生が制度を利用できるように学生へ周知するための取り組みとしては、大学や専門学校に対して、SNSなどの学生が見やすい媒体を使ったり、学校からのメールで連絡する際に件名を工夫して見てもらいやすくしたりするなど、周知の工夫をお願いしているとのことです。
【予算】
国立大学運営費交付金の拡充については、平成 16 年までは減少していたが、平成 17 年以降は前年度と同額を計上しており、今後も変わらず財源の確保をしていきたいとの回答がありました。
学習施設や食堂、教員数など学習や生活環境向上のために必要な経費の確保については、国立大学では、大学法人での5ヵ年計画により対応しており、私立大なども含め、耐震やバリアフリー化なども行っているとの回答がありました。
中間所得層の医学生の経済的負担を軽減するのに十分な予算の確保や給付型奨学金については、非課税世帯に対して支援することが優先であると考えており、中間所得層に対しても令和 6 年から拡大の対象として準備を進めているものの、現在は機会均等を一番の目標にしているとの回答がありました。
【高等教育の無償化】
入学金の二重払いの防止や減額を行うことについては、私立大学では入学金を各大学で判断して請求してもらうことになっており、かつて行われた入学金の二重払いに関する裁判においても、特段の高額でない限り、返還を行わなくて良いという判決がでたが、大きな負担を抱えている学生がいるのも事実であるため、各私立大学設置者へ減額のお願いをしているとの回答がありました。
今年度の文科省との懇談は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインで行われましたが、医学生の実情を伝え、文科省と学生側とで意見交換をすることができました。今後も医学連は、全国の医学生の意見を集め、懇談などの形で国や医療団体と協働し、よりよい医学部づくりを目指していきます。