全日本医学生自治会連合 (以下、医学連) は、2023年3月17日から19日にかけて、BumB (ぶんぶ) 東京スポーツ文化館で第40回定期全国大会を開催しました。新型コロナウイルス感染症が流行して以来、直近3年の大会はオンラインのみの開催となっており、本年度は4年ぶりの対面開催であったと同時に、医学連史上初のハイブリッド開催となりました。今年は全国から18大学51名の学生が参加し、このうち代議員23名、役員11名でした。加えて、代議員7名、役員3名から委任状が提出されました。
この大会は、医学連の活動を総括し、来期の方針を決定する場です。中央執行委員により決議案が提起され、全国の加盟自治会から派遣された代議員の承認を得ることで決議が可決され、その方針に沿って医学連は活動していきます。また全国から学生が集まり、自治をテーマに交流する機会にもなっています。主な内容は表の通りです。
・中央執行委員会報告① (決議案第1章:自治とは、医学連とは)
・自治会取り組み紹介① (高知大学・島根大学)
・中央執行委員会報告② (決議案第2章:省庁交渉)
・講演会 (孫 大輔先生)
・中央執行委員会報告③ (決議案第2章:アンケート、医ゼミとは)
・自治会取り組み紹介② (岡山大学・山梨大学)
・中央執行委員会報告④ (決議案第3章:学会、自治会懇談、加盟運動)
・自治会取り組み紹介③ (香川大学・岐阜大学・京都府立医科大学・和歌山県立医科大学)
・講演会 (奈良信雄先生)
・全体討論
・諸議決採択承認
・第40期の医学連中央執行委員の役員選挙
【中央執行委員会報告】
中央執行委員会は、医学連に加盟する各自治会から選出された役員から成る、最大定数15人の組織です。中央執行委員会の役員は、医学連を代表し、全国大会の決定にしたがって運動を統括・執行する役割を担います。また、全日本医学生自治会連合規約(以下、規約)は事務機関として「書記局」をおくことを定めており、書記局員は中央執行委員会の役員とともに運動を行っています。「中央執行委員会報告」は、医学連役員ならびに書記局員が39期中央執行委員会の活動内容を全国の自治会から選出された代議員に報告するものです。
各中央執行委員会報告の概要
① 医学連の役割、決議案について、自治とは、医学連とは
② 新型コロナウイルス感染症の影響、地域枠、学費問題、医師の労働問題
③ 医学連アンケート報告、全国医学生ゼミナール (医ゼミ)
④ 自治会の盛り上げ、医学連への加盟
詳細な内容は、本大会で採択された決議「学生自治の取り組みを広げ、より良い学生生活、医師養成を実現しよう」をご覧ください。
【自治会取り組み紹介】
自治会取り組み紹介では、高知大学、島根大学、岡山大学、山梨大学、香川大学、岐阜大学、京都府立医科大学、和歌山県立医科大学から発表がありました。各大学の取り組みは様々で、学生の要求実現のために活動し成果を上げていることが報告されました。その後行われたディスカッション (SGD: small group discussion) でも各地の取り組みを紹介しあったり、励ましあったりと、盛り上がっている様子がみられました。SGDの議題は、次の通りです。
・発表の中で気になった取り組みはありましたか?
・あなたの大学の自慢の取り組み、教えてください!
・自治会の取り組みの中で困っていることはありますか?
「他大学では、規模の大きい活動に取り組んでいることも知ることができた。私たちの自治会でも長期的な視点で学生の悩みを解決できるのではないかと感じた。」といった感想が寄せられました。
【講演】
講演会では、お二方の先生をお招きしました。
・孫大輔先生 「私の考える地域医療:対話とウェルビーイング」
参加者からの感想
「映像作品を作るという手段は自分にはなかった。話を聞くより見る事の方が事態を認識しやすいのかも知れないと感じた。」
「医師でありながら、映画作りに関わっていらっしゃるとのことで、地域医療の現実を映像を通して伝えることができる素晴らしさを感じた。」
・奈良信雄先生 「日本医学教育分野別評価に基づく医学教育の質保証と継続的改良」
参加者からの感想
「医学教育が学生参加することで医学教育の質が向上することができるため、今後も医学教育カリキュラムへの進言を進めていきたいと感じた。」
「自分の感じている医学教育の問題が、自分の大学だけでなく日本の医学部全体の問題なんだということを知ることができた。」
【全体討論】
全体討論は、医学連役員、代議員、オブザーバーが立場を超えて発言できる機会です。
冒頭、第39期委員長より、山梨大学の代議員から提出された意見集約用紙への回答が述べられました。「学生のみんなはカリキュラムを変えることができることを知りません。医学生が1年に1度文部科学省とカリキュラムを検討する機会を持っていることも。皆に周知する必要があると思います。」との意見に対し、「学生自身カリキュラム改善に参画できると知らない人が多いことに関しては、カリキュラムに関する全国調査の結果をまとめた報告書を作成し、それを学生にも還元していくことで、より多くの学生がカリキュラム委員会等に参加する雰囲気を醸成したいと考えております。また、医学連が実施している省庁交渉についても、報告をホームページや医学連新聞に掲載し、周知を図ってまいります。」と回答しました。
続いて、他の参加者から「来期は加盟校の学生の利益をより大切に活動していきたい」、「医学部生のカリキュラム参画推進に全国的な課題として取り組みたい」、「育児や経済的な事情などに配慮した柔軟なカリキュラムを求めたい」、「より多くの私立大学も医学連に加盟できるようになればよい」など多くの意見が出されました。全体討論の議事録は、決議の後半をご覧ください。
【諸議決採択・第40期医学連中央執行委員の選挙】
大会3日目には、決議案・決算予算案などの諸決議が採択され、第40期の中央執行委員会が選出されました。昨年度、役員の輩出がなかった大学からも次期中央執行委員が選出され、これまで以上に全国幅広く、各地の自治会とつながることが期待できます。最後に、新中央執行委員長から閉会の挨拶を述べて本大会は終了しました。
3日間にわたって行った本大会では、活動報告や討論を通して参加した全員が多くの学びを得たと思います。今大会で得たことを活かして、全国の学生自治会を発展させられるよう活動していきましょう。
大会の集合写真
大会決議はこちら