2024年3月12日、文部科学省との懇談を行いました。
対面形式で、医学連からは4名の役員が参加しました。
医学連では毎年、全国の医学生から集めた意見をもとに厚労省・文科省との懇談を行い、
意見交換を行っています。
詳しい要請内容や回答を知りたい方は、こちらの文科省交渉報告もぜひご覧ください。
https://docs.google.com/document/d/1VMlU1l3neHCMiJqgCuXqPxpwDJsGyKOpB9PwMAPwvjQ/edit?usp=sharing
概要は以下の通りです。(2024年3月12日時点での回答になります。)
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今年は以下の5項目について要請をしました。
一. 医学教育について
二. 基礎研究の推進について
三. 医学生の精神的サポートについて
四. 予算について
五. 高等教育の無償化について
ここでは、要請の内容と回答を一部紹介します。
一、医学教育について
- 適正な進級判定が行われているか精査し、全ての医学部で公正に成績評価が行われているか検証すること。
⇒日本医学教育評価機構(JACME)では、評価の基準を大学ごとではなく、医学分野として統一した基準で評価している。この評価は、医学部をおく大学は必ず受けるので、これによって大学の成績評価の平準化を促している。
三、医学生の精神的サポートについて
- 不調を抱えた学生に対するカウンセリング体制を充実させること、学生の精神的サポート体制の普及や教育を十分に行うこと。
- 精神的な不調を抱える学生に対応して、講義・テスト・カリキュラムを柔軟に運用していくこと。
- 留年した学生のサポートと、留年しそうな学生に対するサポートを充実させること。
⇒悩みを抱えている学生に寄り添ったきめ細かな対応を講じることが重要である。学生が相談しやすい体制の構築などを各大学に依頼しており、メンタルヘルスケアのサポートに役立つ情報も各大学に周知している。今後さらなるメンタルヘルスケアの取り組みの充実を目指していく。
四、予算について
- 質の高い医学教育のために国立大学運営費交付金を拡充させること。
- 学習施設や食堂など、学習や生活環境向上のために必要な経費を確保すること。科学研究費助成事業を継続的に増額させていくこと。
⇒運営費交付金は、高等教育や学術研究の水準の向上、人材の確保や教育研究環境の整備を行うために必要不可欠な基盤的経費である。今後も各大学が継続的、安定的に教育研究活動ができるように支援していきたい。
国立大学の設備整備に関しては、国立大学法人等施設整備5か年計画にもとづいて、既存施設の有効活用を基本としつつ、毎年度各大学の要望を聞いて必要に応じて施設の老朽改善に取り組んでいる。
また、金銭的な援助についてお伺いしました。質問内容と回答をご紹介します。
Q. 高等教育無償化について将来的な目標はありますか。
⇒高等教育無償化には大きく分けて2つの形があると考えている。
①授業料を減免し、生活費の部分は給付型奨学金を支給する形。
②国費を大学に投入し、学費そのものを下げる形。
最終的にどこまで政策を拡充していくかについては今のところ決まっていない。
Q. 私立大学の理工農系の学生への支援が令和6年度の新制度から始まります。医学部にも他の学部との格差をなくすような支援を検討していますか。
⇒理工農系への支援の趣旨は、現在成長分野であるデジタル分野の人材の育成を目的としている。特定の学部の支援や国立と私立の違いを踏まえた支援政策をすぐに考えるのは難しい。一方で医学部の負担が大きいことは認識しているため、現段階では、一歩一歩高等教育無償化の修学支援制度の拡充や卒業後の奨学金の返還への支援の充実に取り組んでいる。
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今年度の省庁交渉は数年ぶりに対面で行われ、直接顔を合わせて文科省と学生側とで意見交換をすることができました。今後も医学連は、全国の医学生の意見を集め、懇談などの形で国や医療団体と協働し、よりよい医学部づくりを目指していきます。