こんにちは!
先日の第42回医学連全国大会で書記局員を引退しました、元役員Tです!
年度末となりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか?
新しい大学が決まりどんな出会いがあるかワクワクしている新入生の方、進級して新歓の準備で忙しい上級生の方、すでに授業が始まって憂鬱な方もいるかもしれません。私は、大学生最後の春休みを満喫し終え、明日から始まる新社会人生活に恐れおののきながらワイシャツにアイロンをかけています。
本来であれば医学連大会準備期間に、この役員ブログを更新していくのが慣例となっていましたが、今年の3月は役員がみんな大忙しで、更新する余裕がありませんでした。申し訳ありません・・・m(_ _)m
最後に少しでもと筆を取ってみましたので少々お付き合いいただけますと幸いです。
さて、3月14〜16日に行われた第42回医学連全国大会では、決議案と新役員選挙が厳正に執り行われ、私も後輩の皆さんに活動のバトンを託すことができました。
1年生で先輩に誘われて参加して以来、医学連の活動の魅力、そこで出会う人の魅力にとりつかれ、卒業までしっかり関わってしまいました。
20を超える大学を訪れ、さまざまな学生と語り合いました。ある大学では、自治会がなくなりかけていたところに学生の声が集まり、皆で規約を学びなおし、再び自治会を立ち上げることができました。また、要求実現のために毎年省庁交渉を行い、記者会見やメディアへのアピールを通して、社会に医学生の抱える問題点を訴えることができました。大学の懇談会では、地道に一つ一つ学生と教職員で問題解決のためにアイデアを出し合いました。こうした活動を通じて、自治は「特別な人がやること」ではなく、「みんなの声が集まることで動き出すもの」なのだと実感しています。最終的には、海外との交流まで手を出してしまい、自治活動についてどこまでも追いかけてしまう「自治会おじさん」というオタクを自称しています。
そんな学生時代を通して、常に「大学とは何か」「自治とは何か」「医学部とは何か」を自分の中で問い続けてきました。学年が上がるごとに、さまざまな視点が増え、学習や実践で得たものもありました。卒業する今の時点で答えがはっきり見つかっているわけではありませんが、一つの到達点を述べます。
大学における学生自治は、社会の民主主義教育の場であり、実践の場であり、発展の場でもある。
学生自治は、単なる学生の集まりではありません。議論し、意見を調整し、ときには交渉や行動を通じて社会を変えていく経験そのものです。
「学校は社会の縮図」とよく言われますが、とりわけ大学や医学部は、将来の社会や医療を担う若者が育つ場です。その環境で培われる知識、価値観、生き方は、やがて社会全体の在り方にも影響を与えていくでしょう。
だからこそ、大学における学生自治は、単なる課外活動ではなく、民主主義を学び、実践する貴重な機会なのです。
学生自治の日常では、学生の要求を実現するために、意見を出し合い、時にはみんなで頭を抱えながら「あーでもない、こーでもない」とディスカッションを続けます。そうして見つけた一致点に向かって、協力しながら進めていく。その過程では、規約に則った組織運営を行い、時には大学や国といった力を持った相手とも真剣に向き合わなければなりません。
大きな話題だけでもありません。例えば、「トイレに手洗い石鹸を設置する」といった身近な要望や、「学生の交流企画を作る」「疑問に思ったことについてアンケートを集める」といったほんの僅かな違いをもたらす活動も、立派な学生自治の取り組みと言えます。
こうした一つひとつの行動 - 学生が自らの力で課題を見つけ、解決策を模索し、意見を交わしながら合意形成を図るプロセス - これはまさに民主主義そのものです。そこで培われた経験や価値観は、やがて社会に出たときにも生きるはずです。
何気なく過ごす大学生活の中にこそ、民主主義の本質が詰まっています。学生自治を通じて学ぶことが、より良い社会の実現につながるのではないでしょうか。
医学連や学生自治会の活動にも、山があれば谷もあります。残念ながら、私たちを取り巻く昨今の世界は「学生自治」にとって決して優しい環境とはいえない状況でしょう。管理教育の拡大、学生の多忙化、若者の低投票率、社会への無関心・自己効力感の低下、さらに大学自治や学問の自由そのものが脅かされるような情勢がたびたび起こっています。
そして、世界の民主主義そのものに対しても逆風が吹いています。SNSを中心にフェイクニュースが跋扈(ばっこ)し、議論ではなく相手を叩く風潮、強権政治、さらに武力を背景に侵略や虐殺が起こっている地域…。
しかし、どんなに困難な状況でも、人権や平和を守りたいと願う人々の思いは途切れることなく、その意志を持つ人々の行動が歴史を動かしてきました。それはまさに、学生自治の根幹にある「声を上げ、議論し、行動する力」と重なります。
歴史を振り返れば、多くの変革は市民や学生の小さな一歩から生まれています。自らの暮らしや社会の課題に向き合い、より良い未来を求めて行動した人々がいたからこそ、社会は前に進んできました。
ドイツ・ベルリンの壁の一角には、こんな言葉が刻まれています。
Viele kleine Leute, die an vielen kleinen Orten viele kleine Dinge tun, können das Gesicht der Welt verändern.
「多くの小さな人々が、多くの小さな場所で、多くの小さなことをすれば、世界の姿を変えることができる。」
旧東ドイツで民主化・東西統一のために声を上げた無数の市民の象徴でしょうか。こうした人々の何年にもわたる運動が、ベルリンの壁崩壊、そして世界の変化にもつながりました。私たち学生も同じです。たとえ小さな一歩でも、積み重ねることで変化を生み出せる。学生が変われば大学が変わり、大学が変われば地域が変わる。地域が変われば日本社会が変わり、そして日本社会が変われば世界が変わる。
各地で取り組まれる学生の小さな活動の積み重ねこそが、やがて大きな変革へとつながるかもしれません。そう考えれば、私たちが築いてきた学生自治の取り組みは、まさに民主主義の「希望」と言えるのではないでしょうか。
その「希望」を支える一員として、あなたも、学生自治に参加し、未来へとつなげていきませんか。
長くなってしまいましたが、最後に、これまで支えてくださった多くの方々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。
先輩方には本当に多くのことを学び、困った時には頼りになる存在でした。
同期とは支え合い、励まし合い、時に厳しい議論を交わしながら共に成長できました。
後輩たちは、私たちを支えてくれ、たくましく成長しながら、いつも明るさと元気を与えてくれる存在でした。
また、各大学の自治会関係者や、理解を示して支えてくださった教職員、共に活動してきた多くの方々にも感謝申し上げます。
共に築いた学生自治の「希望」がこれからも紡がれること、次世代の皆さんの健康と未来に多くの幸あれと願い、筆を置かせていただきます。